戦国武将織田信長の不器用な恋
「信長様、聞いてください」

しかし、マミの言葉は信長には届かなかった。

安土城に戻ると信長はさっさと天守閣へ向かった。

「おかえりなさいませ」

秀吉が信長に声をかけるも、信長は黙ったままだった。

「信長様、待ってください」

マミが後からハアハア言いながら追いかけてきた。

「どうしたのだ、何があった」

「どうしよう、信長様を怒らせてしまったんです」

「話してみよ」

「一緒にお団子食べて、呉服屋に寄って着物買って頂いて、そこまでは良かったんです」

秀吉は黙ってマミの話を聞いていた。

「そこに信玄様と幸村さんがいて、急に抱きしめられて、そうしたら、信長様が怒ってしまって……」

「それは気分を害すな」

「そのあと、俺のそばにいると約束しただろう、俺の城に来い、待ってるぞって言われて……」

「マミ、武田信玄と約束したのか」

「したようなしなかったような、覚えていません」
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