再会は光の中で~ひっそりと子育てしていたら、あなたの愛に包まれました~
1.思い出の場所
駅を降りると人の流れが一斉にある場所へと向かっている。
都市部の一角に作られた、子どもから大人まで一日中楽しめるテーマパーク『シャイニーワールド』だ。
ここは私が子供の頃に開園して以来、入園者数は増え続け、今では大人気の施設となっている。
今日は秋の日の行楽日和。心地良い風が時々吹いて、お出かけにはちょうどいい日だ。
私、水原 亜澄は、ずっと一人娘の千帆をここへ連れてくることを楽しみに育ててきた。
「さすがに凄い人混みだなぁ。開園前からこんなに長い列ができてる」
隣で兄の俊史が呟いた。今日は千帆のつき添いで、久しぶりに取れた休みを返上し、つき添ってくれている。
「ママ―! ドレスのおうちどこ~?」
千帆はドレスに着替えて、へアセットやメイクをしてくれるアトラクションを楽しみにしている。
「入り口の左手にあるプリンセスストリートよ。今日はトトが走ってチケットを取ってくれるから、大丈夫」
トトというのは私の兄で、俊史は千帆の父親代わりのような存在だ。
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