再会は光の中で~ひっそりと子育てしていたら、あなたの愛に包まれました~
千帆が示す先は、彗星の城がライトアップされ、光に照らされて綺麗に浮かび上がっている。
「すご~い、きれいだね」
待ち合わせのエントランスにある案内所の前へ行くと、園の案内スタッフが私たちを待っていてくれた。
「ようこそいらっしゃいました。こちらにどうぞ」
人混みをかき分けてストリートの脇道を進むと、裏通りに来たせいか、だいぶ人通りが少なくなった。いったいどこへ案内してくれるのだろう。
すると突然、建物の陰から大きな人物が現れた。
「ここからは私が案内する。君は普段の仕事に戻ってくれ」
そこにいたのは紘登だった。案内スタッフは一礼するとその場を立ち去り、いつの間にか私と千帆、紘登の三人になってしまった。
「ど、どうして……?」
「せっかく再会できたんだ。俺が案内してもいいだろう」
「でも……」
「あっ! まほうつかいのひとだ」
千帆は思い出したように声を上げた。
「こんばんは。千帆ちゃん。今夜は二人だけ? パパはお仕事かな?」
「パパ……?」
千帆は不思議そうに紘登の顔を見上げる。我が家にパパという存在がないことは理解している。
「ほ、ほら、千帆。トトのことだよ。今日は仕事に行ってるのよね~」
慌てて千帆の言葉を止めた。兄を父親のような響きのトトと呼ばせておいてよかった。危うく千帆が口を滑らせそうで冷や汗が出る。