Macaron Marriage
木製のドアの鍵を開ける翔の後ろに立ち、辺りをキョロキョロと見渡す。レストラン側の華やかな印象と違い、裏は緑に囲まれ静けさに包まれていた。
ドアを開けて中へ入ると、外観のイメージそのままの玄関や階段が見えた。
「どうぞ。俺の部屋は二階なんだ」
そう言うと翔は萌音の手を取って二階へと昇っていく。初めての翔の家ということもあり、萌音は緊張しながら翔の隣を歩いた。
今日は感情の起伏が大きすぎる。朝はあんなに悲しかったのに、婚約者が翔さんだったって知ってモヤモヤして、だけどずっと私を好きだったって言ってもらえて嬉しくて、そしていきなり彼の家に来てこんなに緊張するなんて! もうおかしくなりそうだった。
二階に上がり、廊下沿いに扉が三つ見える。その一番奥の部屋に翔は入っていく。促されるようについていくと、彼らしい雰囲気に萌音は思わず声を漏らした。
入って右側の壁側には机とベッド、真ん中にソファとテーブルがあり、左側の壁には壁掛けのテレビを囲うように収納が取り付けられていた。
二人はソファに腰を下ろすと、なんとなくお互いの方へ向き直った。翔は萌音の髪を撫でながら微笑む。
「俺のこと嫌になった?」
「そうじゃないの……! ただ……知っていたなら教えてほしかったなって……そうしたらこんなに悩んだりしなかったはずだから……」
「そうだよね、ごめん。本当は元基にも言われてたんだ、このままなら萌音を傷つけるんじゃないかって。それでも俺はどうしても譲れない理由があったんだ」
「譲れない理由?」
すると翔の手が萌音の頬に触れたかと思うと、そっと唇を塞がれる。
「そう……俺はね、萌音と親に決められた婚約者として結婚をするんじゃなくて、恋をして愛し合って結婚をしたかったんだ。萌音にちゃんと俺自身を愛してほしかった」
「そんなの……! もうずっと前から翔さんしか見てなかったよ……」
「うん、だからすごく嬉しかったんだ……。そろそろちゃんと話さないととは思っていたけど、まさか池上社長がやってくるとは思わなかったからびっくりしたよ」
翔はスッと立ち上がると、机の引き出しから何かを手に持って戻ってくる。それは小さな小箱で、翔は萌音の手の上に置いた。
ドアを開けて中へ入ると、外観のイメージそのままの玄関や階段が見えた。
「どうぞ。俺の部屋は二階なんだ」
そう言うと翔は萌音の手を取って二階へと昇っていく。初めての翔の家ということもあり、萌音は緊張しながら翔の隣を歩いた。
今日は感情の起伏が大きすぎる。朝はあんなに悲しかったのに、婚約者が翔さんだったって知ってモヤモヤして、だけどずっと私を好きだったって言ってもらえて嬉しくて、そしていきなり彼の家に来てこんなに緊張するなんて! もうおかしくなりそうだった。
二階に上がり、廊下沿いに扉が三つ見える。その一番奥の部屋に翔は入っていく。促されるようについていくと、彼らしい雰囲気に萌音は思わず声を漏らした。
入って右側の壁側には机とベッド、真ん中にソファとテーブルがあり、左側の壁には壁掛けのテレビを囲うように収納が取り付けられていた。
二人はソファに腰を下ろすと、なんとなくお互いの方へ向き直った。翔は萌音の髪を撫でながら微笑む。
「俺のこと嫌になった?」
「そうじゃないの……! ただ……知っていたなら教えてほしかったなって……そうしたらこんなに悩んだりしなかったはずだから……」
「そうだよね、ごめん。本当は元基にも言われてたんだ、このままなら萌音を傷つけるんじゃないかって。それでも俺はどうしても譲れない理由があったんだ」
「譲れない理由?」
すると翔の手が萌音の頬に触れたかと思うと、そっと唇を塞がれる。
「そう……俺はね、萌音と親に決められた婚約者として結婚をするんじゃなくて、恋をして愛し合って結婚をしたかったんだ。萌音にちゃんと俺自身を愛してほしかった」
「そんなの……! もうずっと前から翔さんしか見てなかったよ……」
「うん、だからすごく嬉しかったんだ……。そろそろちゃんと話さないととは思っていたけど、まさか池上社長がやってくるとは思わなかったからびっくりしたよ」
翔はスッと立ち上がると、机の引き出しから何かを手に持って戻ってくる。それは小さな小箱で、翔は萌音の手の上に置いた。