Macaron Marriage
4 二人の接点
萌音を見送ったあと、翔は再びレストランに戻った。萌音には説明しなかったが、ここの敷地内の一角が翔の住まいとなっているため、必ずレストランの中を通って帰宅していたのだ。
ドアを押し開けて中へ入ると、レストランは閉店作業を終え、先程のホール担当の男性がのこっているだけだった。すると男性は翔に気付いて楽しそうに近付いてくる。
「おかえりなさい」
「あぁ、ただいま」
「いやぁ、あの子が噂の萌音さんなんだねぇ。俺ちょっと興奮しちゃったよ」
翔の従兄弟の由利元基は、頬を染めてニヤニヤしながら翔を小突いた。二人は子どもの頃から仲が良く、経営が悪化していたこの式場の立て直しに翔が取りかかると聞いた時に、『俺も行く!』と喜んでついてきたのだ。そのため翔と元基はこの四年間、同じ家に住んで生活も共にしていた。
翔はため息をつくと、軽くあしらうように手を振る。
「その話は後でいいから。終わりなら消灯するよ」
「あっ、ちょっと待ってくれよ! 帰るまで待っててやったのにつれないなぁ」
「別に待ってて欲しいなんて言ってないけど」
「はいはい、わかりましたよ」
そう言うと全ての照明のスイッチを切り、二人は廊下の奥にある家へと繋がる扉を開けた。
扉を開けると小さな玄関が顔を出し、そこで靴を脱ぐと二人はそのままリビングへと入っていく。
二十帖ほどのリビングにはソファが向かい合わせに置かれていて、大きな壁掛けのテレビが存在感を放っていた。
お互い向かい合って座ると、揃って背もたれに倒れ込む。だが元基の興奮している様子はしっかりと翔に伝わっていた。
「で? 一体どういうことなわけ?」
「どうって……別にそのままだよ」
「はぁっ⁈ そのままなわけないだろ⁈ いっつも直前で逃げてばかりの萌音ちゃんが、あんなにスムーズにお前と店にやって来たんだぞ⁈ 俺には奇跡が起きたとしか思えなかったよ!」
「いや、別に逃げられてたわけじゃないよ。だってどちらも俺が逃亡の手助けをしてるわけだし」
仲が良かったこともあり、元基には萌音についての話をしていた。むしろそのことがきっかけとなって彼女との婚約が決まったようなものだった。
ドアを押し開けて中へ入ると、レストランは閉店作業を終え、先程のホール担当の男性がのこっているだけだった。すると男性は翔に気付いて楽しそうに近付いてくる。
「おかえりなさい」
「あぁ、ただいま」
「いやぁ、あの子が噂の萌音さんなんだねぇ。俺ちょっと興奮しちゃったよ」
翔の従兄弟の由利元基は、頬を染めてニヤニヤしながら翔を小突いた。二人は子どもの頃から仲が良く、経営が悪化していたこの式場の立て直しに翔が取りかかると聞いた時に、『俺も行く!』と喜んでついてきたのだ。そのため翔と元基はこの四年間、同じ家に住んで生活も共にしていた。
翔はため息をつくと、軽くあしらうように手を振る。
「その話は後でいいから。終わりなら消灯するよ」
「あっ、ちょっと待ってくれよ! 帰るまで待っててやったのにつれないなぁ」
「別に待ってて欲しいなんて言ってないけど」
「はいはい、わかりましたよ」
そう言うと全ての照明のスイッチを切り、二人は廊下の奥にある家へと繋がる扉を開けた。
扉を開けると小さな玄関が顔を出し、そこで靴を脱ぐと二人はそのままリビングへと入っていく。
二十帖ほどのリビングにはソファが向かい合わせに置かれていて、大きな壁掛けのテレビが存在感を放っていた。
お互い向かい合って座ると、揃って背もたれに倒れ込む。だが元基の興奮している様子はしっかりと翔に伝わっていた。
「で? 一体どういうことなわけ?」
「どうって……別にそのままだよ」
「はぁっ⁈ そのままなわけないだろ⁈ いっつも直前で逃げてばかりの萌音ちゃんが、あんなにスムーズにお前と店にやって来たんだぞ⁈ 俺には奇跡が起きたとしか思えなかったよ!」
「いや、別に逃げられてたわけじゃないよ。だってどちらも俺が逃亡の手助けをしてるわけだし」
仲が良かったこともあり、元基には萌音についての話をしていた。むしろそのことがきっかけとなって彼女との婚約が決まったようなものだった。