Macaron Marriage
萌音は大きく息を吐くと顔を上げ、意を決して口を開く。
「私、翔さんが好きです……ずっとずっと昔からあなただけに恋をしてた……だから諦めるなんてやっぱり出来ません」
「それはつまり……」
「あなたと八ヶ月だけでも恋がしたいです……ただそれには条件があります」
「……それはどんなことでしょう?」
そんな言葉を聞いても翔は動揺することなく、最初から変わらぬ笑顔を萌音に向け続けていた。いつもこの笑顔に助けられてきた……だからこそ彼ならこの条件を呑んでくれるような気がしたのだ。
「あの……私は恋愛したことがないんです……。それは婚約者がいるからと自制してきた部分でもあります。だって私が……その……初めてじゃなかったらおかしいじゃないですか。だって結婚はあんな前に決まってるんですから! きっと相手の方だっていろいろ我慢してきてると思うんです。それなのに私が道を外れるのはいかがなものかなと……」
萌音が勢いに任せてそこまで話すと、翔は急に顔を逸らして口をもごもごとさせる。
「……いや、そんなことはないと思いますよ……男なんてみんなそんなもんです……」
「翔さん?」
「あぁっ、いえ、なんでもないです! それで条件というのは?」
「……こんなことを言いのは恥ずかしいんですけど、プラトニックな関係の恋愛をしていただけませんか?」
「……それはつまり体の関係はなし、ということですか?」
「そ、その通りです! ダメでしょうか?」
翔は口元に手を添えると、どこか遠くを眺めるよう瞳で口を閉ざした。何かを考えているような様子に、萌音は緊張してしまう。
しばらく経ってから、翔はそっと笑みを浮かべて萌音を見つめた。
「わかりました。ただ萌音さんの条件を呑む代わりに、私の条件も呑んでいただきたいのですが、構いませんか?」
「そ、それはもちろんです! 何なりと言ってください!」
萌音がそう答えた瞬間、いつもの爽やかな笑顔とは違い、ニヤッと不敵な笑みを浮かべたように見えた。
翔は彼女の腰に手を回すと、グイッと抱き寄せる。そのため顔と顔の距離が近くなり、お互いの呼吸を感じることが出来た。
「もし私のことが欲しくなったら、萌音さんから誘ってください。私はいつでも準備万端ですから」
「なっ、何を言って……!」
反論しようとしたが、思いがけず唇を塞がれてしまった。翔の唇が、何度も萌音の唇を吸っていく。こんなキス初めて……そう思いながらうっと
りと目を閉じた。
「私、翔さんが好きです……ずっとずっと昔からあなただけに恋をしてた……だから諦めるなんてやっぱり出来ません」
「それはつまり……」
「あなたと八ヶ月だけでも恋がしたいです……ただそれには条件があります」
「……それはどんなことでしょう?」
そんな言葉を聞いても翔は動揺することなく、最初から変わらぬ笑顔を萌音に向け続けていた。いつもこの笑顔に助けられてきた……だからこそ彼ならこの条件を呑んでくれるような気がしたのだ。
「あの……私は恋愛したことがないんです……。それは婚約者がいるからと自制してきた部分でもあります。だって私が……その……初めてじゃなかったらおかしいじゃないですか。だって結婚はあんな前に決まってるんですから! きっと相手の方だっていろいろ我慢してきてると思うんです。それなのに私が道を外れるのはいかがなものかなと……」
萌音が勢いに任せてそこまで話すと、翔は急に顔を逸らして口をもごもごとさせる。
「……いや、そんなことはないと思いますよ……男なんてみんなそんなもんです……」
「翔さん?」
「あぁっ、いえ、なんでもないです! それで条件というのは?」
「……こんなことを言いのは恥ずかしいんですけど、プラトニックな関係の恋愛をしていただけませんか?」
「……それはつまり体の関係はなし、ということですか?」
「そ、その通りです! ダメでしょうか?」
翔は口元に手を添えると、どこか遠くを眺めるよう瞳で口を閉ざした。何かを考えているような様子に、萌音は緊張してしまう。
しばらく経ってから、翔はそっと笑みを浮かべて萌音を見つめた。
「わかりました。ただ萌音さんの条件を呑む代わりに、私の条件も呑んでいただきたいのですが、構いませんか?」
「そ、それはもちろんです! 何なりと言ってください!」
萌音がそう答えた瞬間、いつもの爽やかな笑顔とは違い、ニヤッと不敵な笑みを浮かべたように見えた。
翔は彼女の腰に手を回すと、グイッと抱き寄せる。そのため顔と顔の距離が近くなり、お互いの呼吸を感じることが出来た。
「もし私のことが欲しくなったら、萌音さんから誘ってください。私はいつでも準備万端ですから」
「なっ、何を言って……!」
反論しようとしたが、思いがけず唇を塞がれてしまった。翔の唇が、何度も萌音の唇を吸っていく。こんなキス初めて……そう思いながらうっと
りと目を閉じた。