放課後の音楽室で
「…文乃さんに着てもらえる日が来るなんて…思ってもみなかった」

そう言って、嬉しそうな様子のお母さんに、私の心が暖かくなっていく。

「…上田くん…優しそうな子ね」

「うん。すごく優しい」

即答すると、ちょっとだけクスッと微笑んだお母さんに、思わず私の頬の筋肉が緩む。

「…お父さんも認めてるみたいね」

そういえば…

「お母さん、普段お父さんとは連絡取ってるの?」

素朴な疑問を、この際だから聞いてみる。

「…実はランチはいつも一緒に食べてるの」

「そ、そうなの?」

てっきりすれ違ってばっかりだと勝手に思い込んでた。

「仲が悪いわけじゃないわ。お父さんは私のこと理解してくれてる。そういう夫婦の関係もあるのよ…」

そうだったんだ…。

「…文乃さん、私と家族になってくれてありがとう」

胸がいっぱいになる嬉しい言葉だった。

「私の方こそ、お母さんになってくれてありがとう…」




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