放課後の音楽室で
ブッブッブッ

あっ、メールだ。

ポケットからスマホを取り出して画面を見ると、兄ちゃんからのメールが来ていた。

「兄貴から」

そう言って、メールを開く。

〝アイス買って帰るけど、何がいい?〟

ラッキー。

俺はすぐに返信を送り、スマホをポケットに入れた。

「上田くん、お兄さんと仲良いのね」

「えっ?うーん、今一緒に住んでるからかな。兄貴が大阪にいる時は滅多に連絡取らなかったし」

4月からこっちに戻ってきてからの方が、一緒に住んでるのに連絡頻度は多い。

「私も、お兄ちゃんかお姉ちゃんがいたらよかったな…」

少し寂しそうな佐久間の表情に、俺まで釣られてしんみりとしてしまった。

やっぱり、佐久間は平気なふりをしてるけど、寂しいんだと思う。

そりゃそうだよな。俺は家に帰れば母さんがいるし、しばらくすれば兄ちゃんも帰ってくる。

父さんだって、早く帰れる日は一緒にご飯を食べるし。

でも、佐久間には、そういう時間がない。

そう思えば思うほど、やっぱり佐久間は心細いんだと感じた。

「俺でよければ、いつでも話し相手になるから」

「え?」

「寂しいなら、寂しいって言った方いいよ」

そう言い切ると、佐久間はクスッと笑い、

「やっぱり上田くん優しいね」

と言った。




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