放課後の音楽室で
そうだ…
昨日買ってきたクッキーを、少しだけラッピング用の袋に詰め替える。
リボンで止めて、小さな紙袋に入れた。
「お待たせ。行こう?」
「上田さん」
足を進みかけたとき、玄関から新田さんに呼び止められた上田くん。
「文乃さんのこと、よろしくお願いしますね」
にっこり笑った新田さんから、嬉しさが滲み出てるように感じた。
新田さん、上田くんのことお気に入りだからかな。
「はい!行ってきます!」
野球部らしいキレのいい返事で答える上田くんにちょっと驚いた私は、思わず上田くんの顔を覗き込んだ。
「ごめん、声でかかった?」
照れたような上田くんに、私は少し頷いて、ふふっと笑った。
「…しばらく、放課後はまっすぐ帰ってくるの?」
そっか、手がこんなんじゃ、まだ弾けないよね。今日の放課後のこと、全然考えてなかった。
「うーん…多分そうかな」
「怜さんといつも帰ってるんだっけ?」
「うん。でも、ピアノ弾けないと、時間持て余しちゃうから、手が治るまでは1人で家に帰るね」
「そっか。…本当にごめんな」
「だから、上田くんが謝ることじゃないってば!」
明るくそう言うと、上田くんはぎこちなく笑って、頭を掻いた。
あっ…
ふと、すれ違う人や、同じ方向に向かって歩いて行く生徒たちの視線が私の頬の怪我に向けられたこちに気がつき、ドキッとした。
同じ学校の人達、昨日のこと知ってる人もいるよね。
今日、明日でこの視線には慣れると思うけど…。
昨日買ってきたクッキーを、少しだけラッピング用の袋に詰め替える。
リボンで止めて、小さな紙袋に入れた。
「お待たせ。行こう?」
「上田さん」
足を進みかけたとき、玄関から新田さんに呼び止められた上田くん。
「文乃さんのこと、よろしくお願いしますね」
にっこり笑った新田さんから、嬉しさが滲み出てるように感じた。
新田さん、上田くんのことお気に入りだからかな。
「はい!行ってきます!」
野球部らしいキレのいい返事で答える上田くんにちょっと驚いた私は、思わず上田くんの顔を覗き込んだ。
「ごめん、声でかかった?」
照れたような上田くんに、私は少し頷いて、ふふっと笑った。
「…しばらく、放課後はまっすぐ帰ってくるの?」
そっか、手がこんなんじゃ、まだ弾けないよね。今日の放課後のこと、全然考えてなかった。
「うーん…多分そうかな」
「怜さんといつも帰ってるんだっけ?」
「うん。でも、ピアノ弾けないと、時間持て余しちゃうから、手が治るまでは1人で家に帰るね」
「そっか。…本当にごめんな」
「だから、上田くんが謝ることじゃないってば!」
明るくそう言うと、上田くんはぎこちなく笑って、頭を掻いた。
あっ…
ふと、すれ違う人や、同じ方向に向かって歩いて行く生徒たちの視線が私の頬の怪我に向けられたこちに気がつき、ドキッとした。
同じ学校の人達、昨日のこと知ってる人もいるよね。
今日、明日でこの視線には慣れると思うけど…。