放課後の音楽室で
遠足のグループ決めの時に、ポツンと残っていた佐久間。

ほとんど仲良しのグループで決まっていたこともあり、佐久間はどこにも入れないままでいた。

俺は慎吾と同じグループで、他に同じ小学校から上がってきていた、怜さんと怜さんの友達と一緒だった。

『佐久間さん、呼んでもいい?』

『うん、いいよ?』

気さくな怜さんは、すぐにそう答えてくれて、俺は1人で座って視線を下げていた佐久間に声をかけた。

『よかったら俺たちのグループ入ろう?』

『…いいの?私、面倒臭いかもよ?』

そう言った佐久間に、俺は吹き出してしまった。

『大丈夫。俺、結構、佐久間さん面白いと思うよ?』

『…ありがとう』

そう言うと、佐久間さんはちょっと照れくさそうに笑って席を立った。

実際、一緒に過ごす時間が増えると、佐久間のちょっと抜けたところや意外な芸術センスが見えてきて、俺たちと距離が近くなった。

気がつけば、クラスの人達も佐久間を受け入れて、佐久間は1人になることは無くなった。

特別仲が良いとか、そんなことではなかったけれど、結局5年間も同じクラスになって、きっと来年も持ち上がるから同じクラス。

すごい偶然だけど、こんなに長く一緒にいれば、気の知れた仲になるのは当然で、いい友達関係が築けてると思う。

でも、俺ってどれだけ佐久間のこと知ってるんだろう。

素朴な疑問が頭をよぎった。



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