放課後の音楽室で
「今の母親は、父の再婚相手…。そして私の本当のお母さんは私を産んでから今の父親と結婚…だから、父親とも血は繋がってない…。私が2歳の時、母親は病気で亡くなってるから、結局どちらとも血は繋がってないの…」

話を聞きながら頭の中を整理していく。

「…だからね、私のこと1番よく知ってるのは、ずっと一緒にいてくれた新田さんだけ」

そう言って微笑んだ佐久間は今にも泣きそうだった。

「…許嫁って、父親の知り合いの御曹司なんだって。血が繋がってないのに、裕福に育ててもらえてる…手放されてもおかしくないのに。こんな状況で、我儘なんて言えないよ」

だとしても、佐久間は決められた事に従うだけの人生って事だよな。

「上田くん…」

「ん?」








「私、上田くんのこと好き」






えっ?








「菊池先輩に告白された時、上田くんに聞かれてショックだったの…好きだからこそ聞かれたくなかったんだって気がついた…」

待って…佐久間が、俺を好き?

「…でも叶わない気持ちだからこそ、伝えてしまいたかった」

佐久間の言葉が、俺の気持ちを乱していく。佐久間の事情なんて、関係なしに、俺だって蓋をした気持ちを吐き出したい。

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