放課後の音楽室で
「あ、やばっ」
男子生徒の声と同時に、ガシャンッとすごい音が音楽室内で響く。
シュッ
痛いっ
突然割れた窓ガラスに驚いたのと同時に、手の甲と頬に痛みを感じた。
「やべっ、早く先生に言いに行かないと」
「待って、中に誰かいる」
ざわざわしている外の声が、私の耳に届く。うずくまって、頬を抑える私の足元には野球ボールが転がっていた。
一瞬手を見ると、切れている指以外にも血がべっとりと付いている。
頬の傷から…?
真っ赤な手のひらを見て、体がかすかに震え出す。
「さ、佐久間!?」
聞き慣れた声に、少しだけ顔を上げる。
開けっ放しの窓を土足のまま飛び越えて入ってきた野球の練習着姿の上田くんは、私を見るなり真っ青になった。
「佐久間、保健室行こう。あっ、俺、手汚れてるから抑えられない。ハンカチある?」
頷いてポケットに手を伸ばすと、私より先に上田くんが私のポケットからハンカチを摘んで抜き取った。
「手に巻いてそのままほっぺた抑えればいいと思うから」
なるべくハンカチに触れないように指先で丁寧に広げてくれた上田くんに、私は痛みを感じながら口を開いた。
「…ほっぺた、傷大きい?」
「…ちょっと見た感じじゃはっきりとは…。とりあえず中川先生のところ行こう」
男子生徒の声と同時に、ガシャンッとすごい音が音楽室内で響く。
シュッ
痛いっ
突然割れた窓ガラスに驚いたのと同時に、手の甲と頬に痛みを感じた。
「やべっ、早く先生に言いに行かないと」
「待って、中に誰かいる」
ざわざわしている外の声が、私の耳に届く。うずくまって、頬を抑える私の足元には野球ボールが転がっていた。
一瞬手を見ると、切れている指以外にも血がべっとりと付いている。
頬の傷から…?
真っ赤な手のひらを見て、体がかすかに震え出す。
「さ、佐久間!?」
聞き慣れた声に、少しだけ顔を上げる。
開けっ放しの窓を土足のまま飛び越えて入ってきた野球の練習着姿の上田くんは、私を見るなり真っ青になった。
「佐久間、保健室行こう。あっ、俺、手汚れてるから抑えられない。ハンカチある?」
頷いてポケットに手を伸ばすと、私より先に上田くんが私のポケットからハンカチを摘んで抜き取った。
「手に巻いてそのままほっぺた抑えればいいと思うから」
なるべくハンカチに触れないように指先で丁寧に広げてくれた上田くんに、私は痛みを感じながら口を開いた。
「…ほっぺた、傷大きい?」
「…ちょっと見た感じじゃはっきりとは…。とりあえず中川先生のところ行こう」