放課後の音楽室で
「最近、上田くんと何かあった?」

えっ…

天文部の部室で一緒にお昼ご飯を食べていた怜ちゃんが、パンを片手にいきなり聞いてきた。

あまりに急だったから、箸でつまんでいたミートボールがお弁当のご飯の上にぽとりと落ちる。

「相変わらず、分かりやすい文乃」

怜ちゃんは楽しそうに笑って、カレーパンにかぶりついた。

そんな怜ちゃんを見て、大好きな怜ちゃんになら、少しだけ話そうかなと思い、私はお茶を一口飲んだ。

「…とりあえず…両想いだったみたい」

そう言うと、話題を振ってきたはずの怜ちゃんは、きょとんとした表情で私を見る。

「両思いって…文乃も上田くんのこと好きだったの?」

あっ、そっか。怜ちゃんに私が上田くんへの気持ち自覚したこと言ってなかったんだ。

「うん…。文化祭の時、色々あって気が付いたの」

「ちょっと、意外だった。上田くんの気持ちはダダ漏れだったけどね」

えっ…

「上田くんの気持ち、全然気づかなかった…」

上田くん本人も、私と同じように文化祭の時自覚したって言ってたし…。

でも…

「そんなに漏れてた?」

「うん。気づいてないのは本人同士。多分ね、クラスの人達の大半は、上田くんの気持ちに勘づいてたわよ」

クラスの…大半?

「うそ…」

そう呟くと、怜ちゃんは苦笑いで口を開いた。
< 41 / 120 >

この作品をシェア

pagetop