放課後の音楽室で
佐久間の誕生日当日。

直接渡したくて、夕方の部活帰りに家に寄ることを約束していた。

ピンポーン

「いらっしゃい。今開けるね」

インターホンを鳴らすと、新田さんではなく佐久間の声が聞こえた。

「うん」

ガチャッというロックの解除される音が聞こえ、門を開けて中に入る。

長い玄関までの道のりを歩いていると、ガチャっと音がして、カーディガンを羽織った佐久間が出てきた。

「お茶、飲んでいって?」

「そうしたいけど、今日はすき焼きだから早く帰ってこいってメール来てた」

なんで今日に限って、と思ったけれど、昨日高級和牛のお肉もらったって言ってたから、仕方ないか。

「そっか…」

「ごめん。でも、はい、これ。プレゼント」

「え?準備してくれてたの?」

「うん。佐久間、17才おめでとう」

そう言うと、佐久間は恥ずかしそうに微笑んだ。

「ありがとう」

そう言いながらプレゼントを受け取る佐久間。

「俺さ、女の子にプレゼント選んだの初めてで…」

気恥ずかしくて、頭を掻きながら言うと、佐久間は嬉しそうに笑った。

「開けていい?」

「うん」

そう言うと、佐久間は紙袋の中から、リボンのついた包みを手に取ってゆっくりと開けた。





< 45 / 120 >

この作品をシェア

pagetop