放課後の音楽室で
「いや、謝るのは俺にじゃないと思うよ?」

本来なら、1番の被害を被ったのは、佐久間だから。

「そうなんですが…怪我させてしまった佐久間さん、病院に行ったので会えてなくて。明日改めて謝罪します…。その前に、上田さんにも謝らないとって。だって…」

後輩の1人がそこまで言って、他の3人と顔を合わせて、今度は別の後輩が言葉を続ける。

「…上田さんの大切な人なのかなって」

「えっ?」

なんか、こいつら勘違いしてる?

「佐久間は、友達だけど?」

「えっ、あっ、そうなんですね。てっきり…」

「そう見えたんだ?」

「はい…」

勘違いに気まずそうに俺の顔色をうかがう後輩4人。

「まあ、よく誤解されるけど、そんなんじゃないから。とりあえず、これからは練習場所気をつけような」

「「はい」」






そうか。1年にも、俺と佐久間はそう見えたのか。

確かに、佐久間とは仲は良い。でも、それは恋愛感情とかではなく、ただ単に気が合うからなんだと思う。

「…大丈夫かな」

だいぶ、血が出てたよな。手もだけど、女の子だから、頬の傷はきっと気にすると思う。

はあ…。

体の震えていた佐久間の姿を思い出すと、深い後悔のため息が出た。

防げた事故だよな…。

様子が気になるから、ちょっと顔見ていくか…。

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