放課後の音楽室で
第12章 大人
それから、佐久間と入れ替わって、シャワーを浴びてリビングに戻ると、母さんと佐久間はすっかり打ち解けていた。
「夜ご飯食べて行って?気持ち落ち着いたら帰るといいわ。きっとお家の人も心配してるわよ?」
「…はい」
「ご自宅の電話番号教えてもらえないかしら?私から、連絡しておくから」
母さんは、フライを揚げながら佐久間に優しい口調で言った。
「圭介、そこのメモ帳渡してあげて」
「う、うん」
なんだろう、母さんってこういう時、全然動揺しないんだな。
母さんの様子に感心しながら、佐久間にメモ帳を渡す。
家の電話番号をメモすると、ペンを置いて、ご飯を作る母さんの様子を見つめていた。
「…上田くんのお家って、暖かいね」
「そう?」
「うん。初めて来たけど、全然そんな気がしないし、お母さんもとても素敵な方」
「圭介、フライ見ててちょうだい。きつね色になったら上げていいから」
母さんはそう言って、俺に菜箸を渡すと、佐久間の書いたメモと電話の子機を持って、廊下に出た。
佐久間の家に電話するのかな。多分新田さんが出ると思うから、話はすぐ終わると思うけど…。
俺は音を立てている油の入った鍋の前に立って、フライの色を確認した。
「夜ご飯食べて行って?気持ち落ち着いたら帰るといいわ。きっとお家の人も心配してるわよ?」
「…はい」
「ご自宅の電話番号教えてもらえないかしら?私から、連絡しておくから」
母さんは、フライを揚げながら佐久間に優しい口調で言った。
「圭介、そこのメモ帳渡してあげて」
「う、うん」
なんだろう、母さんってこういう時、全然動揺しないんだな。
母さんの様子に感心しながら、佐久間にメモ帳を渡す。
家の電話番号をメモすると、ペンを置いて、ご飯を作る母さんの様子を見つめていた。
「…上田くんのお家って、暖かいね」
「そう?」
「うん。初めて来たけど、全然そんな気がしないし、お母さんもとても素敵な方」
「圭介、フライ見ててちょうだい。きつね色になったら上げていいから」
母さんはそう言って、俺に菜箸を渡すと、佐久間の書いたメモと電話の子機を持って、廊下に出た。
佐久間の家に電話するのかな。多分新田さんが出ると思うから、話はすぐ終わると思うけど…。
俺は音を立てている油の入った鍋の前に立って、フライの色を確認した。