放課後の音楽室で
第15章 溢れる気持ち
自分の家に向かって歩きながら、自分の胸元に手を当てる。

すっげー、心臓速い。

さっきまで繋いでいた手に、佐久間の体温がまだ残っている。

さっき、思わず将来のことを口走りそうになってしまった。

まだ部活だって引退してないのに、今の自分の感情が溢れ出てしまう。

引退したら言うって言ったけど、そもそも進路すら確定してないのに、口にするのは早い気がしてきた。

もう少し、冷静にならないといけないのに、佐久間の前だと色々気持ちが揺れ動く。

さっき、図書室で作間の問題集とノートを目にした時、現実を突きつけられた気がした。

こんなに頭が良くて将来有望な佐久間と、大学に受かるかどうか微妙な位置にいる俺。

でも…頑張ろう。

佐久間と俺自身のためにも。



















「…結婚?」

月日が経って、俺の部活動もひと段落した夏休みの終わり。

休みをとって大阪から戻ってきた兄ちゃんの話の中に出てきた漢字二文字。

相手ってトモさんだよな…。

母さんと父さんはめちゃくちゃテンション高くなってるし。

「具体的な話は、俺がこっちに戻ってくる3月以降になるから、正式に結婚するのは来年の話だと思う」

兄ちゃんの話を聞きながら、色々とタイミングがあるんだって改めて感じる。







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