放課後の音楽室で
それにしても、ちょっと雰囲気変わった気がする…。

そう思いながら佐久間の隣に座り、横顔を思わずまじまじと見てしまった。

そして、心の中で、

かわいいよな。

と、呟く。

久々すぎて、自分のキャラも崩壊してしまう気がする。

「どうしたの?」

「え?ううん、なんでもないよ。佐久間が元気そうでよかった」

慌ててそう答えると、佐久間はまた、ふふふっと笑った。

その仕草が、やっぱり可愛く思えて、触れたくなる衝動を必死で抑える。

「上田くん、髪の毛伸びたね」

「あ、うん。坊主卒業しようかなって思ってる」

「ふふっ。新鮮」

口元に自分の手を当てて微笑む佐久間。

俺って、結構思春期男子って感じなのかな…。

自分の揺れ動く感情に戸惑いながら、佐久間に微笑み返す。

「今日、会えたから、また頑張れそう」

えっ…

「…ちょっと疲れてた?」

佐久間の表情を伺うと、ちょっとだけ困った表情を見せた。

「疲れたっていうか、周りのみんなが凄すぎて、ちょっとでも気を抜くと置いてけぼりになっちゃう気はしてる」

佐久間でもそう感じるのか…。

「ちょっとは力になれたなら嬉しいよ」

佐久間の心のチャージになったのであれば、それはそれで嬉しい。

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