放課後の音楽室で
「…今の木下?」

教室に向かってい歩いていると、慎吾が後ろから俺の肩をポンっと叩いた。

「うん。なんか相談あるらしい」

「…相談…ねえ」

「何?」

「いや、別に」

慎吾はそう言うと、ポケットからホッカイロを取り出して両手を温める。

「あっ、それズルッ」

俺もホッカイロ持って来ればよかった。

「…まだ佐久間と付き合ってないの?」

えっ…

「いきなりだな…。うん、付き合ってはない」

「なんだよ、その意味深な言い方」

苦笑いの慎吾は、そう言うと、俺の背中をバシバシ叩いた。

「…お前さ、佐久間が結構男子に人気あるって知ってる?」

「……初耳」

マジか…。

頭の中に、さっきの光景が蘇る。

「去年の文化祭で、結構話題になって。そっから佐久間雰囲気ちょっと変わっただろ?こう、ちょっと他の女子より大人っぽいというか…」

慎吾の話を聞いていくにつれて、モヤモヤが大きくなっていく。

「今日、クリスマスイブだし、佐久間誰かに告られるかもな」

「マジ?」

思わず慎吾の方を見ると、俺の表情を見て慎吾が慌てた。

「顔、マジ怖いから。…少なくとも、俺の知ってるやつ確実に1人は告るって言ってた」

確実に…?

「はあー…」

その言葉に、俺は立ち止まって息を吐き、思わず頭を抱えてしゃがみ込んだ。

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