押し倒して、鼻先にキス。
ラーメンはおいしい。でも現実はしょっぱい。だいぶ塩分過多。いつもそう。
水を飲んで、ほっと息を吐く。涙で視界が少し歪んでいる。
「はぁ…私の塩分薄めてくれる男の人ってどこにいるんだろ」
「心瑚…(情緒は)大丈夫?」
「うん…ちょっとお水もらってくる」
すっかり空になった自分のコップと、3分の1にまで減っていた亜紀ちゃんのコップを持って席を立った。
月曜日だというのに店内は結構賑わっている。
人が座る席と席の合間を縫って歩き、ウォーターサーバーでお水をいれて、戻ろうと振り向いた時だった。
「わっ」
「きゃっ…!」
すぐ後ろにいた男の人とぶつかって、私の服に水が思いっきり零れた。