押し倒して、鼻先にキス。
「いやいや大丈夫です…!」
「いやいや遠慮しないで?俺んちもうここだから」
「私んちもここですけど!!」
「ん?今…俺と同棲したいって言った?」
「言ってないわ!!」
ダメだこいつ、サイコパスだ。歩く卑猥サイコパス。
なんでこんなに会話が異次元なの!?
「手離してくださいー!!」
思い切り足を踏ん張りながら、そう叫んだ時だった。
「ちょっとぉ、クウマ!いるなら早く家入ってきてよおー!」
そんな声と共に、勢いよく部屋のドアが開いて。
中から明るい光と女の子が飛び出してきた。
「おー、リカちん。いたの?」
ナンパ男が、心臓が止まりそうになった私とは裏腹に、のんびりした声でそう言った。
「いたの?って、呼び出したのクウマでしょ!?ひっどおーい」
「あはは、ごめんごめん。でも久しぶりに会えて嬉しいよー」
「ほんと?あたしもっ」
女の子がピョンピョン跳ねる。
20代前半くらいの女の子。飛び跳ねると胸が揺れて、目のやり場に困った。
「ていうか…」
目を逸らす私とは裏腹に、女の子がじろっと横目で私を睨む。
「この人誰?クウマの新しい女?」
「んーまだ違うかなー。ちょうど今部屋に連れ込もうとしてたところー」
「「はぁ!?」」
女の子と私の声が思いっきりかぶった。