誰も愛さないと言った冷徹御曹司は、懐妊妻に溢れる独占愛を注ぐ
 甘ったるい声も、その微笑みもすべてを俺の身体は拒否したのだ。いつも買い物の話しや、パーティーの話し。会話は続かないし、俺の言葉も理解しない。

 いくら誰でもいいと思ったとはいえ、俺には無理だ、そう思い、あえて向こうから断られるように振舞った。ほとんど会話らしい会話はしてないはずだ。

 だから、その次に天音が送り込まれてきたとき、絶対に断るそう決めていた。
 
 しかし、初めて会った日、俺から目を逸らさず取引を持ち掛けた天音に、少し興味を持ったのは事実だ。
 そして、どんどんと聞いていた話と違うようにしか思えなくなった。
 
 面と向かって怒鳴ってきた彼女も、仕事をする彼女も、そして今日みたいに酔っぱらう彼女も演技だとはどうしても思えない。
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