誰も愛さないと言った冷徹御曹司は、懐妊妻に溢れる独占愛を注ぐ
 あんな風に俺に意見をした人などいなかった。甘ったるく聞こえてしまう女性の声に、いつしか冷たい言葉しか返さない俺にも、天音は態度を変えなかった。

 いや、優しいとさえ言った。
 いつ頃から女性に対して、嫌悪感を抱くようになったのだろう。同僚の山岸たちが女嫌いだと、社内のいろいろな人にいってくれるようになってからも、色目を使ってくる女性社員が多くうんざりしていた。そのためずっと松前に仕事をさせてることになってしまったのだが。
 
 どうして天音にはその感情がわかないのか。本当に心の底から俺の弁護士という職業にも御曹司とにも興味がないからかもしれない。なんとなく、自分に興味がないと知ったことでザラリとした気持ちになすらなる。
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