誰も愛さないと言った冷徹御曹司は、懐妊妻に溢れる独占愛を注ぐ
 いつも見ているより幼く儚くみえるのは、俺の気持ちがそうさせているのだろうか。

 天音のことを信じてしまいそうになる自分の思考をストップするも、眠る彼女から視線を外せずにいた。

 まだわからない。これもすべて演技の可能性だってゼロではない。愛だの恋だのまやかしだ。人は裏切りと嘘を繰り返す生き物。
 俺の両親からも、仕事からもそれを学んだではないか。

 自分でもこんな考えをするなんて最低だと思う。しかし、どうしても俺には愛という気持ちがわからない。
 
 今、天音の手を振りほどけないこの気持ちの意味は……。
 俺は小さく息を吐くと、グラスのビールを飲みほした。
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