誰も愛さないと言った冷徹御曹司は、懐妊妻に溢れる独占愛を注ぐ
 一緒に過ごしてくれるようになったことはとても嬉しいのに、それが哀れみや義務からならば悲しくもある。そんな気持ちが毎日沸き上がっていた。
 そんな中、仕事はと言えば一カ月が過ぎ順調に覚えられているし、他のスタッフの人たちとも打ち解けられた。
 
週も半ばの木曜日、私は自分のデスクで資料をまとめたり、調べ物をしたりしていた。

「天音ちゃん」
 横から聞こえた友麻さんの声に、私は顔を上げた。

「申し訳ないんだけど、明日の出張行けたりする?」
「出張ですか?」
私はその想像もしない言葉に驚いてしまう。

「どうかしたんですか?」
「主人のお義母さんが足を痛めちゃって」
「そうなんですね、大丈夫ですか?」

 友麻さんのご主人のお母様はお父様を亡くされてから、近所でひとり暮らしと聞いている。
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