誰も愛さないと言った冷徹御曹司は、懐妊妻に溢れる独占愛を注ぐ
 正直に思いを吐露すれば、彼は私の浴衣に手をかけた。

 ドクン、ドクンと自分の鼓動がうるさくて、自ら誘ったにも関わらず固まってしまう。これではやめると言われてしまう。
 そんな思いから、必死に手を伸ばして彼の頬に触れた。緊張で死にそうだけれど、拒否はしてない。そう伝えたかったのだ。
 そんな私の手をキュっと悠希さんは自分の頬の場所で握る。

「俺も余裕がない。やっぱりやめて。そう言われても止まれる自信がない。今まで一つ屋根の下にいる天音にどれだけ触れたいと思っていたかわかる?」

 その熱の孕んだ瞳に、さらに心臓は大きく高鳴る。ただの欲求だとしても、そんな風に思っていてくれただけで十分だ。
「言いません」
 声がかすれてしまったが、そう伝えれば、悠希さんはゆっくりと腰ひもを外し、浴衣を胸元を広げると、私の鎖骨に触れそこに口づけた。そして何度も私の身体に口づけをしながら、あっさりと浴衣も下着も脱がしてしまった。

 私は羞恥から目を閉じていたが、なんとなく視線を感じて少しだけ目を開けた。
 何も身にまとっていない私を見下ろす彼に、慌てて隠そうと身体をひねるも、それをすぐに制される。

「見せて」
 その言葉と同時に頭上で手を縫い留められてしまい、身動きがとれなくなる。

「綺麗だよ」
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