誰も愛さないと言った冷徹御曹司は、懐妊妻に溢れる独占愛を注ぐ
 ささやかな胸に彼の手が振れ、もう片方の胸に彼の唇が落とされる。
 まるで電流が流れた様な感覚に、自分の声とは思えない甘ったるい声が出て私は唇を噛んだ。
 
 手で口を覆いたいが、今も頭上で縫い留められているためそれも許されない。

「天音、唇は噛まないで。素直に声を上げて、反応してくれた方が俺は嬉しい」
「でも……」

 こんな声を出したことなどないし、まさか自分がこんな風になるなんて想像もしていなかった。
「そんなことを考える余裕があるのがいけないのか……」
 不穏な言葉が聞こえたと思うと、悠希さんは私の手首から手を離すと、いきなり誰も見たことのない場所に触れた。
「んッ」

 鋭すぎる快感に、どうやったら声を我慢できるかなんてわからない。

「ダメ、悠希さん」
< 170 / 331 >

この作品をシェア

pagetop