誰も愛さないと言った冷徹御曹司は、懐妊妻に溢れる独占愛を注ぐ
 優しく髪を撫でられて、愛する人とようやく抱き合うことができたことに嬉しさが募る。
 しかし、目の前で額に汗が光、苦痛にも見える彼の顔があった。

「大丈夫です。だから好きにして」
「天音、お前って」

 そう言うと、悠希さんは律動を開始した。少しの傷みの後、さんざんならせていたせいか、快感をすぐに拾い始めた。
 何回目かわからない交わりの後、私は意識が飛びそうになる。
 その時、悠希さんの声が聞こえた気がした。

「ごめん、天音」
 どうして謝るの? 愛がないのに抱いたから?
 そう尋ねたかったが、それは叶うことなく眠るように意識を失った。

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