誰も愛さないと言った冷徹御曹司は、懐妊妻に溢れる独占愛を注ぐ
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ドンと自分の自分の部屋の戻ると、俺は壁を思い切り叩いていた。手に痛みが走るもそれぐらい当たり前だ。
ここ数日、なぜか天音の態度がおかしいとは思っていた。それが気になって仕方がなかった。そして、それは昼間事務所に戻ったときの、天音と山岸の親密さが関係あるのではないか、そんなことを勘ぐってしまった。
山岸に向ける笑顔の天音に、鈍器で殴られたような心の傷みと苛立ち。
俺のものに何してるんだ。天音もどうして山岸にそんな笑みを向けているんだ。
初めて感じた醜い独占欲に唖然としてしまった。
しかし、俺はそのことを天音にもちろん伝えることなどできなかった。
仕事中も天音の態度はおかしく、定時に帰りたいと初めて言われた。
そして夕方、気になって山岸の部屋を確認すれば、案の定姿はなかった。考えたくもないがもしかして一緒にいる?
俺のような男より、社交性もある山岸の方がよくなったのだろうか。考え始めればどんどん止まらないどす黒い感情。
天音に対する気持ちを、こんなことが起きなければ気づけない俺はどうかしている。