誰も愛さないと言った冷徹御曹司は、懐妊妻に溢れる独占愛を注ぐ
 今まで周りにいた女性に何の感情も持ったこともなかったし、とりあえず男としてこうしておけば女性はすべて喜ぶ。そんなことを思ってスマートな対応をしてきた。

 誰かを愛することなど俺にはない。そう思っていたし、だからこそ離婚をしようとしている男女を見て、こんな憎悪を持つなら相手に気持ちを持たなくてもいいのに。そう思っていた。

 ストーカーする男の気持ちも、貢ぐ女の気持ちも理解だとできなかった。

 しかし、天音が他の男に気持ちが向いているかもしれない。そう思った途端、何も考えられず唇をふさいでいた。

『好きな人ができた』そんな言葉を聞いてしまったらどうしよう。
 そんな思いからだったが、さっきの天音の怯えた顔。
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