誰も愛さないと言った冷徹御曹司は、懐妊妻に溢れる独占愛を注ぐ
しかし、それは愛のない結婚を永遠にしてしまうということだ。
本当にそれでいいのか。そうは思うも、この子のことを考えればこのまま、悠希さんのそばで産み育てることが幸せなのかもしれない。
身寄りもおらず、働いてばかりになるはずだし、寂しい想いをさせるのはわかりきっている。
「いいな、天音」
拒否することなど許されない強い声音に、悠希さんの決意がはっきりと分かった。責任からくる言葉なのだろうが、私はそれを拒否することはできない。
「はい」
そう伝えれば悠希さんは立ち上がった。
「目が覚めたことを伝えてくる。あと、申し訳ないけど病院もここへ転院して」
「ここは?」
「沢渡記念病院。うちのグループの病院だから」