誰も愛さないと言った冷徹御曹司は、懐妊妻に溢れる独占愛を注ぐ
 茶目っ気たっぷりにそういうと、小林さんはクルクルと鍋をかき混ぜる。
 生きていれば母はと同じぐらいの年の彼女には、たくさんのことを教えてもらえて頼もしい存在だ。

 悠希さんのお母様とはまだお会いできていないが、小林さんからも楽しみにしていると聞いていて安堵している。
 妊娠したことで離婚がなくなったのだから、きちんとご挨拶はしたいと思う。

 少し大きくなったお腹を撫でながら、私は小さく息を吐いた。

 小林さんが帰った後、悠希さんが帰ってくるまで、私はソファに座って育児書をぼんやりと眺めていた。
妊娠中は情緒不安定になるのか、ひとりになるといろいろと考えてしまう。
 
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