誰も愛さないと言った冷徹御曹司は、懐妊妻に溢れる独占愛を注ぐ

「天音? どうした?」
 先ほどの気持ちを引きずってしまっていたのかもしれない。悠希さんが心配そうに私の顔を覗き込む。
「なんでもありません。今日は小林さん特製のビーフシチューなんですよ」
 なんとなく空元気になってしまったのが自分でも分かったが、そのまま彼をリビングへと促す。

「早く着替えてきてくださいね。一緒に食べましょう」
「わかった」
 あえて元気だということをアピールするために、自分の気持ちをごまかすように笑顔を作るのは最近の私の悪い癖かもしれない。
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