誰も愛さないと言った冷徹御曹司は、懐妊妻に溢れる独占愛を注ぐ
しかし、しっかりと調べさせ、私が妊娠していることも承知でこんな話をしていることに、信じられない気持ちしかなかった。
「でも、離婚してすぐにあんたと会っているのがマスコミに知られたらそれはまずいから、いったんあんたは宮下に戻りなさいよ」
「そんな!」
悠希さんと話もしていないし、ようやく宮下家から出られたのだ。そんなことはできない。私に対する気持ちが愛ではないかもしれないが、家族にようやくなろうとしている途中だ。
今までは円花たちの言いなりだったが、守るものができたのだ。「はい、わかりました」そんなことを言うわけにはいかない。
「天音、なに口答えしてるの!」
後ろで私たちのやり取りを聞いていた叔母が、般若の形相で私を睨みつける。
「嫌です」
初めて彼女たちに否定の言葉を口にした私は、ギュッと唇を噛むとふたりを見据えた。
「悠希さんと話をするまでそんなことはできません」
「なにを!」