誰も愛さないと言った冷徹御曹司は、懐妊妻に溢れる独占愛を注ぐ
 まさか私がこんなことを言うなんて思ってもいなかったのだろう。円花がカッと怒りに満ちた瞳で私に手を揚げようとする。
 しかし、私はそのまま彼女から目を逸らすことはなかった。パンと乾いた音ともに頬が熱を持ったように痛む。

 こんな傷みなんてどうってことはない。そう思っていると、叔母がバッグから封筒を取り出した。

「円花、仕方がないわ」
 叔母からそれを受け取ると、円花はベッドのシーツの上にそれを放り投げた。泣くまいと堪えながらそれをそっと手にして、中身に視線を向けて私は目を見開いた。

「どうしてこれが」
 そこには昨日の私と宗次さんとが抱き合っている写真が入っていた。
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