誰も愛さないと言った冷徹御曹司は、懐妊妻に溢れる独占愛を注ぐ
「それをマスコミに売れば、スキャンダルね。あることないこと話してあげるわ。あの男の弁護士としてのキャリアは終わるわね」
円花の言葉に私は啞然としてしまう。ここまで汚い手を使うなんて。
「あんたが変わらないというなら、あの男の地位も名誉も何もかも落としてやる。私には関係ないことだし」
たくさん人間の汚い部分も見て、人を信じられなくなったと口では言っていた悠希さんだが、本当はとても優しい人だ。
大きな案件ばかり受けていて、氷の弁護士などと言われているが、今でも無償に近い形でDVに合った女性の弁護や、離婚調停、親権問題に苦しむ人たちの依頼をうけていることを知った。
彼にとって弁護士という仕事にどれだけ誇りをもっているか、私はこの数カ月でそれを間近で見てきたのだ。
宮下家のような家柄だけで中身のない私たちに振り回せれてしまった彼は、完全に被害者だ。
「いい加減にしてください!」