誰も愛さないと言った冷徹御曹司は、懐妊妻に溢れる独占愛を注ぐ
「パパ! 天音が」
円花がガタガタ震えながら座り込んでいる姿と、悠希さんと私の姿にふたりも只ならぬ様子を感じたようだ。
華やかな玄関ホールで、男通しがにらみ合うのを私はただ見ていた。
「宮下会長」
祖父をそう呼ぶと、悠希さんは後ろの友麻さんに私を預ける様にすると、私の前に立ちはだかった。
「今回の落とし前をどうつけるつもりですか?」
「なんのことかわからんな」
祖父はこの円花たちの暴挙を知っていたのだろうか。
「まず、円花さんと清子さんについてです」
静かにそういうと、彼はふたりのほうへと視線を向けた。
「刑法により、盗撮については1年以下の懲役又は100万円以下の罰金に処されます」
淡々と被告人を問い詰める様に悠希さんがそう言うと、円花が声を上げた。
「何のことよ! 誰がそんなことをしたのよ」
そう言うと、悠希さんはスマートフォンを取り出し、音声を流しだした。
それは宗次さんと円花の声で、隠し撮りをするから私を抱きしめて不貞行為の現場を作れて言われているものだった。
「宗次! お前裏切ったの?!」
焦りにも似た声に、宗次さんは悲し気な表情を浮かべた。
「本当に天音さんが不幸だと思っていました。でも、この人を見てそれはまったくの誤解だとわかった。天音さんの邪魔をしているのはあなたたちだ」
宗次さん……。