誰も愛さないと言った冷徹御曹司は、懐妊妻に溢れる独占愛を注ぐ

「親父ももういいと言ってくれた。俺たちが仕えていた宮下家はもうない。解雇でもなんでもしてくれて構わない。そんなことで、大切な妹みたいな天音ちゃんが不幸になるなんて許されない」

　いつも気にかけてくれていた宗次さんの気持ちに、ありがたさで心がいっぱいになる。

「宗次さん、ありがとうございます」
　涙ながらにそう伝え腰を折れば、優しい瞳で宗次さんは私をみて首を振る。

「謝るのは俺の方だ。表立って助けられなかったことを今でも悔いている。本当に申し訳なかった」
　静かに頭を下げた彼に、私は何度も首を振る。

「こんなことで罪滅ぼしになるとはもちろん思っていないが、沢渡さんに連絡をしたんだ」
　その事実に私はチラリと悠希さんを見れば、少し複雑そうな顔をしていた。