誰も愛さないと言った冷徹御曹司は、懐妊妻に溢れる独占愛を注ぐ
エピローグ
二年後の六月、私たちはハネムーンでハワイにいた。
悠希さんの仕事の調整を始め、娘の茉子(まこ)が飛行機に乗っても大丈夫な時期も考えてのことだった。
軽井沢で式を挙げた一か月半後、私は女の子を出産した。少し小さめだったが、母子ともに健康ですくすくと育ってくれた。
悠希さんは茉子を本当にかわいがっていて、今から将来彼氏を連れてきたらどうしようと心配しているぐらいだ。
真っ青な海が目の前に広がり、大きなプライベートプールがついたリゾートホテル。
モルディブなど他のリゾート地も悠希さんは提案してくれたが、やはり小さい茉子も安全に快適に過ごせる場所として、ハワイを選んだ。
「茉子、パパとプールじゃぶんしようか」
「はーい」
広い部屋を嬉しそうにトコトコ走り回る茉子に、悠希さんが声をかければ茉子は嬉しそうに彼の元へと走っていく。
サラリとした気持ちの良い生地のロングワンピース姿の私は、そんなふたりをプールサイドから見て声をかける。
「茉子、お顔つけれるようになったね」
そう私が褒めれば茉子は嬉しそうにもう一度、水面に顔を付けて満面の笑みを浮かべた。
しあわせだな。その言葉しか浮かばない。