片恋慕夫婦〜お見合い婚でも愛してくれますか?〜
「これって……どういう……?」
「結婚式、洋装も着てみたかったって言ってただろう。俺も緋真のドレス姿見てみたかったから、形だけでも残しておけないかなと思って」
「え……」
「と言ってもドレスは勝手に決めちゃったんだけど。他に着たいのがあったら、用意してもらうから」
目の前にあるのは、クラシカルなハイネックのAラインドレス。上半身は首元から手首までしっかりとレースで覆われており、伊織さんが私のことを思って選んでくれたのだとすぐにわかった。
想像していなかった展開に、上手く言葉が出てこない。何も言わない私に、伊織さんがやや眉を寄せた。
「もしかして、迷惑だった? 急に連れて来られて――」
「違うよ! 逆! 嬉しくて、どうしたらいいのか……」
迷惑なわけがない。伊織さんが私の為にドレスを用意してくれるなんて、願ってもないことだ。
「それなら、綺麗な緋真の姿見せてくれたらいいよ。じゃあ、着替えておいで。俺も着替えてくるから」
「うん……」
嬉しすぎて、もう泣いてしまいそうだ。ぐっと涙をこらえると、鏡の前へと案内され、すぐに準備が始まった。
◇
支度を終えると、ホテル内にある式場へと案内される。
扉の向こうには、白と黒のバイカラーが特徴的なタキシードを纏う伊織さんがいて、胸が大きく高鳴った。
「……やっぱりドレスもよく似合ってる。綺麗だ」
「あ、ありがとう。伊織さんも、素敵だよ」
互いに結婚式で言えなかった言葉を伝え合う。目の前の伊織さんは、やっぱり直視できないほどにかっこよくて、この距離でもドキドキが伝わってしまいそう。
いつの間にか案内してくれたスタッフもおらず、こじんまりとした式場の中には二人だけ。てっきり写真を撮るものかと思っていたため、どうしたらいいのか戸惑ってしまう。
「結婚式、洋装も着てみたかったって言ってただろう。俺も緋真のドレス姿見てみたかったから、形だけでも残しておけないかなと思って」
「え……」
「と言ってもドレスは勝手に決めちゃったんだけど。他に着たいのがあったら、用意してもらうから」
目の前にあるのは、クラシカルなハイネックのAラインドレス。上半身は首元から手首までしっかりとレースで覆われており、伊織さんが私のことを思って選んでくれたのだとすぐにわかった。
想像していなかった展開に、上手く言葉が出てこない。何も言わない私に、伊織さんがやや眉を寄せた。
「もしかして、迷惑だった? 急に連れて来られて――」
「違うよ! 逆! 嬉しくて、どうしたらいいのか……」
迷惑なわけがない。伊織さんが私の為にドレスを用意してくれるなんて、願ってもないことだ。
「それなら、綺麗な緋真の姿見せてくれたらいいよ。じゃあ、着替えておいで。俺も着替えてくるから」
「うん……」
嬉しすぎて、もう泣いてしまいそうだ。ぐっと涙をこらえると、鏡の前へと案内され、すぐに準備が始まった。
◇
支度を終えると、ホテル内にある式場へと案内される。
扉の向こうには、白と黒のバイカラーが特徴的なタキシードを纏う伊織さんがいて、胸が大きく高鳴った。
「……やっぱりドレスもよく似合ってる。綺麗だ」
「あ、ありがとう。伊織さんも、素敵だよ」
互いに結婚式で言えなかった言葉を伝え合う。目の前の伊織さんは、やっぱり直視できないほどにかっこよくて、この距離でもドキドキが伝わってしまいそう。
いつの間にか案内してくれたスタッフもおらず、こじんまりとした式場の中には二人だけ。てっきり写真を撮るものかと思っていたため、どうしたらいいのか戸惑ってしまう。