西野先輩はかまいたい
部活の思い出
side百合
「ゆ~り~ちゃん!」
「西野先輩……
また…サボりですか?」
「サボりって、酷いなぁ。
今は部活の休憩中」
「……そうですか」
「百合ちゃんに会いに来たんだよ。
俺に会えたって
喜んで欲しいくらいなんだけどなぁ」
高校の体育館裏に
ひっそりと佇む、小さな花壇。
放課後、色とりどりの花の
手入れをすること。
それが園芸部・部長の私
白石 百合のお仕事です。
部長なんて、カッコいい言葉を使ちゃった。
そりゃぁ地味で陰キャな私でも
部長になれるよね?
園芸部の部員は、高2の私だけだもん。
人気がないんだ。
夏は暑いし、冬は寒すぎ。
草取り作業は地味に疲れるし
花の植え替えは力仕事。
日焼けする。蚊に刺される。服も汚れる。
嫌われ要素が多すぎ。
でも私は、人と話すより
お花とおしゃべりする方が大好きだから
部員が一人でも、続けているけどね。