西野先輩はかまいたい
「ねぇ~、花に水をあげてないでさぁ。
俺のことを構ってよ~」
外靴に履き替え
栗色のサラサラ髪を揺らし
体育館から出てきた西野先輩は
「百合ちゃんは
今日も俺に冷たいなぁ~」
花壇の前に、しゃがみこんだと思ったら
「1回くらい、ニコっと笑ってくれない?
花には、天使級の笑顔を向けてるでしょ?」
悲しそうな瞳で、私を見上げてきた。
くぅぅぅぅぅ~~
かかか、、、可愛い。
西野先輩が、ご主人様に見捨てられた
泣き泣きワンコに見える。
キュン!
わかりやすく飛び跳ねた、私の心臓。
地味で陰キャな私が
男女問わず大人気の
陽キャな先輩にトキメいた。
そんなこと、誰にもバレたくなくて
無表情の能面顔をキープ。
私はお花だけを瞳に映し
もくもくとお花に
ジョーロの水をふりかける。