西野先輩はかまいたい


体育館へ駆けていく男子の

背中を見つめる西野先輩は


「しょうがない、俺も戻るか」と

しぶしぶ立ち上がった。



良かったぁ。

西野先輩が、私の前から消えてくれる。


これで、たくさんの女子に

睨まれずに済む。


私は心の底から、安心したのに……


「ねぇ百合ちゃん
 明日の昼休みってヒマ?」


「……えっ?」


「百合ちゃんの教室に行ってもいい?
 いいよね?」


「……ええっ??」


「シャーペン交換しよう!」


私の脳がボケボケしている間に

とんでもない提案を

されちゃったから


「ななっ…、なぜっで…すか?」


オロオロ状態の私は

テンパって、声が裏返っちゃった。

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