西野先輩はかまいたい



「だって俺、授業中に
 百合ちゃんのシャーペンを
 使いたいんだもん。
 
 百合ちゃんだって
 学校で俺のシャーペンを
 使いたいでしょ?」


ジョーロを持ったまま

立ち尽くす私の目の前。


花壇の花たちよりも輝く

キラキラな笑顔が咲き誇っている。
 

「いいい……意味が
 わからないんですけど……」


なぜ私のシャーペンを

使いたいんですか?


「俺って、わかりやすいと
 思うんだけどな」


「えっ?」


「ほんとにわからない? 
 俺の気持ち」


「……はい」


「どれだけ鈍感なの?
 まぁそこが、百合ちゃんの
 可愛いところなんだけど」


「……?」



「ちゃんとわかって。

 俺は百合ちゃんのことが
 大好きなの。

 部活の短い休憩時間でも
 会いたくて、顔を見たくて
 かまいたくなっちゃうくらいね」



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