BODY BLOW ~Dr.剛の恋~
鈴子の試合
2月下旬。
午後7時。
「剛ー」
遠くの方から俺を呼ぶ声。
キョロキョロと辺りを見回すと、大きく手を振りながら俺を呼ぶ人物を見つけた。
「剛、こっちよ」
「ごめん。急患が入って遅くなった」
約束より30分遅れて到着した俺は、待たせてしまった彼女に謝った。
「いいわよ、いつものことでしょう。慣れちゃった」
嫌みなく言う彼女は、平井宝35歳。
身長は165センチ。
ちょっとハスキーボイスで、一見取っつきにくい印象。
細身で・・・医者の俺から言わせれば少し痩せすぎ。
大きな目とメリハリのきいた綺麗な顔立ちは、そこそこ目立っている。
「鈴子の試合は?」
「次の次」
良かった。間に合ったか。
今日、俺と宝は郊外の小さな体育館に来ていた。
目的は、宝の親友加々見鈴子。
彼女が出るボクシングの試合があり、応援に来たのだ。
ボクシングの試合とは言ってもタイトル戦のような大きな大会ではなく、ボクシングジム主催のアマチュア大会。
急ごしらえのリンクにパイプ椅子が並び席にも空きがあるが、しかしそこは普段とは違う非日常の世界。
普段の生活では見かけないような筋肉質のマッチョがゾロゾロいて、割れた腹筋と太い腕の展示会のような状態。
会場内には、バスーン。バスーン。という心地いい音が響いている。
そもそもアマチュアの試合とプロの試合は違うんだそうだが、ルールがよくわからない俺と宝もそれなりに試合を楽しんだ。
それにしても、たった3分の試合がこんなに長い時間だとは。3分どころか、ラスト10秒の長さに驚く。
時間は貴重だということを、こんな所から教わるなんてな。
午後7時。
「剛ー」
遠くの方から俺を呼ぶ声。
キョロキョロと辺りを見回すと、大きく手を振りながら俺を呼ぶ人物を見つけた。
「剛、こっちよ」
「ごめん。急患が入って遅くなった」
約束より30分遅れて到着した俺は、待たせてしまった彼女に謝った。
「いいわよ、いつものことでしょう。慣れちゃった」
嫌みなく言う彼女は、平井宝35歳。
身長は165センチ。
ちょっとハスキーボイスで、一見取っつきにくい印象。
細身で・・・医者の俺から言わせれば少し痩せすぎ。
大きな目とメリハリのきいた綺麗な顔立ちは、そこそこ目立っている。
「鈴子の試合は?」
「次の次」
良かった。間に合ったか。
今日、俺と宝は郊外の小さな体育館に来ていた。
目的は、宝の親友加々見鈴子。
彼女が出るボクシングの試合があり、応援に来たのだ。
ボクシングの試合とは言ってもタイトル戦のような大きな大会ではなく、ボクシングジム主催のアマチュア大会。
急ごしらえのリンクにパイプ椅子が並び席にも空きがあるが、しかしそこは普段とは違う非日常の世界。
普段の生活では見かけないような筋肉質のマッチョがゾロゾロいて、割れた腹筋と太い腕の展示会のような状態。
会場内には、バスーン。バスーン。という心地いい音が響いている。
そもそもアマチュアの試合とプロの試合は違うんだそうだが、ルールがよくわからない俺と宝もそれなりに試合を楽しんだ。
それにしても、たった3分の試合がこんなに長い時間だとは。3分どころか、ラスト10秒の長さに驚く。
時間は貴重だということを、こんな所から教わるなんてな。
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