BODY BLOW ~Dr.剛の恋~
結局、彼女の案内で到着したのは駅通りにある小さなカフェ。

まず店の看板を見て驚いた。
KANATA
そう書かれていたのだ。

「ここは?」
バックの中をゴソゴソと鍵を探す彼女に声をかける。

「私の店」
「あなたの?」
なんとなくは予想していた答えだが、驚いた

「どうぞ、入ってください」
入り口の鍵を開け彼女が店に入って行く。
俺も後に続いた。

「どうぞ座って」
自分はカウンターの中に入りながら、俺には席を勧める。
「1人でやっているんですか?」
小さいとは言え、カウンター席もテーブルソファー席もいくつかある。
「バイトを何人か使いながら、つぶれない程度にやってます」
ちょっと自虐的な笑顔を向ける。

「何で、死のうとしたんですか?」
彼女も落ち着いた頃を見計らって俺は尋ねた。

「先生は何であそこにいたんですか?」
俺の質問には答えずに、質問で返された。

「出過ぎたこととは思ったんですが、奏太くんの墓参りに行くつもりでした」
隠すことなく答えた。

「ありがとうございます」
そう言ってうつむく彼女の頬に、涙が伝っている。

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