BODY BLOW ~Dr.剛の恋~
「お前、何するんだよ」
鈴子と男性客がスマフォを奪い合いもみ合いになっている。

裕貴君たちも異変を察知して、近くのお客さんを誘導しだした。

「鈴子、手を出したらダメ」
立ち上がって叫ぶ。

鈴子はプロを目指すボクサー。
もし、相手に怪我をさせたら取り返しがつかない。

遠くの方で、裕貴君が電話をかけているのが見える。

バッシッ。
男性客が鈴子を殴る音。

「キャー」
店内のお客さんから悲鳴が上がった。

鈴子は決して手を出さない。
殴られても平気な顔で、されるがままにしている。

「なんだよ、お前馬鹿にしているのか?」
鈴子の態度に、男たちがヒートアップ。
どんなに頑張ったって、鈴子に勝てるはずないのに。
突き飛ばしたり、つかみかかったり、無抵抗なのをいいことに、やりたい放題の男たち。
裕貴君たちも仲裁に入るが、一向に収まりそうにない。
何とかしなくては・・・

私は大きめのボールに水をためると、男性客に向かって掛けた。

バシャッ

「てめえ、なにするんだ!」
今度は私に、男たちが向かってくる。

腕を捕まれ、壁に投げつけられた。

ドスンッ
鈍い音。
同時に背中に激痛が走った。

「宝!」
慌てて鈴子が止めに入ったとき、パトカーのサイレン音がした。

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