BODY BLOW ~Dr.剛の恋~
「宝」
飲みかけのコーヒーの並ぶ会議机に両手をついた亮平が私を見る。

「何?」
「この前会ったときには、ずいぶんひどいことを言ってしまった。お前と彼のことを聞いて、つい感情的になってしまったんだ。申し訳なかった」
頭を下げる。

そんなこと、今更言われても・・・
それに、あなたの反応が世間的には正しいと思うし。

「大丈夫。何を言われても仕方ないと思っているから」
自分でも驚くくらい笑顔で答えた。

「お前、変わったね」
しみじみと言う亮平。

「老けたって意味?」
クスッ。
笑顔になる。

「バカ」

変わらないなあ。
野崎先生のまんまだ。

「ネットの嫌がらせは・・・もう、なくなると思っていいのかしら?」
私は犯人を捜したいとは思わない。
これからしないと約束してもらえれば、それでいい。

「ああ。もう二度とさせない」
「じゃあ、もういいわ」

不思議そうな視線を向ける亮平。
今の亮平を見ていれば、どれだけ心を痛めているのかわかる。
これで終わりにしてくれればいい。

その時、
バンッ。
勢いよく会議室のドアが開いた。

「宝っ!」
大きな声で私の名前を呼ぶのは、剛だった。
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