BODY BLOW ~Dr.剛の恋~
「こういうエコー所見があるときは腹部に内出血があることがあります。小さいので、すぐに処置の必要になる物ではありませんが・・・問題は原因です」
一旦言葉を止めて、川上が俺と鈴子を見る。

原因?
どういう意味だ?

「ボディーブロー。心当たりがありますか?」
「どういうこと?」
思わず、口を挟んだ。

「ボディーブロウは体に受けるパンチ。受けたときにはそんなに効かなくても、後になってくるんだよ。じわじわとね」

じわじわ効くパンチなんて・・・

「昨日の試合で受けた覚えがあります。左の脇腹」
鈴子が冷静に答える。

「そうですか、では今日の怪我との判定はできませんね」
「分かっています。大丈夫です」

鈴子は始めから分かっていたようで、「ありがとうございました」と診察室を出て行った。

診察室に残った俺と川上。

「お前が、彼女を連れてくるとはね」
楽しそうで、それでいて驚いた表情。
「仕方ないだろう」
好きでやっているわけじゃない。

こうでもしなければ、宝は病院には行かないし、だらかと言って放っておくこともできなかった。
これも、惚れた弱みだ。

「一緒に暮らしてるんだろう?」
「ああ」
「お前も、明日には噂の人だな」
愉快そうな川上。

「安心しろ、しばらくは明日鷹の噂で持ちきりだ」
「それもそうか」
2人、苦笑い。
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