BODY BLOW ~Dr.剛の恋~
「で、診断書はどうする?」
「とりあえず書いてもらうか」

被害届を出すかは後で話し合えばいい。
そう思っていたのに、

「診断書はいりません。被害届は出しませんから」
処置が終わり、診察室に入ってきた宝が宣言した。

「宝。とりあえず書いてもらっておいて、後のことは帰ってから話そう」
「いいえ。必要ないわ」

はあー。
「いい加減にしろ。何でこだわるんだよ。川上が書かなくても、その気になれば俺が書くから」
「何言ってるのよ」
小馬鹿にするような言い方に、腹が立つ。

「川上先生。警察提出用の診断書をお願いします」
宝を無視して、川上に依頼した。

「剛!」

怖い顔をして睨む宝。
俺も負けずに睨み返す。

ハハハ。
突然、川上の笑い声がした。

「はい。喧嘩はやめてください」
パンッ。
と川上が俺と宝の間で手を叩く。

「剛、らしくないぞ。いつも冷静なお前が・・・」
クククッ。
なおも笑われる。

「分かった。いいからもう、笑うな」
「ごめんごめん。診断書なら後でも書くから。お前も子供みたいな怒り方するな」

子供みたいなって・・・
ブツブツと呟く俺を残し、宝は川上に頭を下げて診察室を出て行った。

「お前も形無しだね」
肩をポンと叩かれた。

その後、俺は宝と鈴子を自宅に送り届けてから医局に戻った。
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